第4章 2002年度の運動課題と運動方針(案)
1.2002年度の大阪学保協の運動課題
2.2002年度大阪学保協の運動方針
(1)学童保育の全国的制度水準の引き上げ
(2)大阪府に対する運動
(3)市町村レベルでの学童保育運動
(4)指導員の地位向上と社会的処遇の改善
(5)映画「ランドセルゆれて(仮題)」の制作と上映の成功
3.子育てを担う学童保育運動
(1)地域の子育て運動の前進
(2)教育問題に取り組む学童保育の視点
(3)男女平等・女性の地位向上と子どもの権利を前進させる運動
4.学びながら育て、育てながら運動する大阪学保協づくり
(1)映画「ランドセルゆれて(仮題)」の制作運動と府下での上映運動の成功
(2)組織・財政の確立……新会費への移行の達成
(3)父母会の強化
(4)学保連や指導員労組と連携しその発展をめざす
(5)機関紙「おおさかの学童保育」の充実と『日本の学童保育』誌の普及
(6)学習会や講座の開催と30周年記念出版物『子ども時代を拓く学童保育』の普及と活用
(7)全国学童保育研究集会と大阪学童保育研究集会を成功させる
(8)ひるぜん自然の家の発展と、大阪保育運動センター第2期建設運動をすすめる
(9)諸団体との連携
|▲はじめに・目次|▲第3章|
1.2002年度の大阪学保協の運動課題
新年度の学童保育運動は、昨年度の課題を継承するとともに、新たな情勢にふさわしい視点をもって進めなければなりません。
第1に、社会保障における公的責任の縮小をねらいとする「社会福祉基礎構造改革」路線に対して、学童保育は公設公営で施策拡充することが望ましいことを明らかにしつつ、学童保育の公的保障と充実のために全国的運動に取り組む必要があります。
第2に、市町村で地方財政危機を圧力にした自治体リストラの動きが活発化し、学童保育の発展をねじまげたり、おさえこんだりする政策が強まっています。特に、自治体リストラの焦点が人件費の削減・抑制に絞られ、指導員の地位・処遇をおさえる傾向が強まっています。また、国以上の行政水準を見直す動きが活発化しています。さらに、財政危機のツケを福祉全般にまわす財政再建策が多く登場しています。また、効率化を口実にして自治体の仕事のアウトソーシング化が進められています。
第3に、学童保育固有の役割や将来構想が問われています。つまり、学童保育を全児童対策事業に解消させようとしたり、学童保育に全児童対策事業を相乗りさせて曖昧にしたりする動きが強まっています。そこで、学童保育固有の課題や内容を明らかにしつつ、地域の子育て支援事業における学童保育の位置づけや固有の役割を明確にしていく必要性が高まっています。また早急に、私たちが学童保育の最低基準を明確にし、国にそれを確立させることが求められています。
第4に、学童保育の内容や指導員の仕事から「学童保育の専門的公共性とは何か」を検討し明らかにしていくことです。学童保育と指導員の専門性を深めることによって、その公共性に裏うちをあたえ、学童保育を固有のものとして地域・自治体のなかに確立していくことがいま問われています。そのためにも、指導員の身分保障や労働条件の確立が早急に求められています。
第5に、学童保育を活用して子どもを育てる親と父母会のあり方やその活動を深めていくことです。子どもの教育問題は学校・地域・家族などを貫いてますます深刻化する傾向にあります。21世紀の子育て像を探求する意味でも学童保育における父母会活動、地域子育て運動の発展をはかることが緊急の課題になっています。
第6に、学校5日制の完全実施にともない、土曜日開設の実施をさせるため、実態にあわない国の補助単価の見直し増額をもとめることと、土曜日開設を促進するために休日加算の増額を求める必要があります。
第7に、学童保育に関わるすべてのひとが、権利の主体者としてまた、文化の創造者として発展することが必要です。
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2.2002年度大阪学保協の運動方針
(1)学童保育の全国的制度水準の引き上げ
第1に、学童保育は法制化されたとはいえ、現実に必要な運営費に見合う補助金とはなっていません。また、その施設・設備や職員に関する最低基準がありません。さらに、指導員の資格・身分保障に関する規定もありません。
ですから、国に、補助金の拡充や最低基準の確立や指導員の身分等に関して、法体系の改正・整備などを求める全国的な運動が求められています。
第2に、学童保育を全児童対策事業に解消したり、学童保育に全児童対策事業を相乗りさせて曖昧にしたりする動きと機敏にたたかい、学童保育のさらなる発展をかちとる運動が必要です。
第3に、土曜日開設の実施をさせるため、実態にあわない国の補助単価の見直し増額を求めることと、土曜日開設を促進するために休日加算の増額を求める必要があります。そして、補助金の増額によって指導員の増員を確保して土曜日開設を実現する必要があります。土曜日開設と指導員の労働条件の改善を両立させてすすめることが必要です。
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(2)大阪府に対する運動
大阪府に対する運動では、大阪府の自治体としての独自施策を守ること、それと同時に法制化後の大阪府の学童保育施策を大都市にふさわしい水準に高めること、この二点が当面の課題になっています。
第1に、「大阪府財政計画(案)」撤回の運動が重要です。国基準以上の施策の一律廃止をねらう「計画(案)」と府政リストラの動きに今後とも対応していかなければなりません。そして、太田府政下では財政危機の一層の深刻化は必至であり、「計画(案)」撤回の運動は、ますます重要になっています。
第2に、法制化後の学童保育施策では、独自施策を「守る」運動だけでなく、「前に進む」施策を獲得することが重要です。そのためにも、国の学童保育施策に対する「上乗せ・横出し」の積極的要求を掲げて、大阪府に学童保育条例の制定を求めていく必要があります。しかし、大阪府は学童保育施策の実施要綱すらもたない現状においては、学童保育施策の府的な水準を確立するためにも、私たちの要求を反映させた実施要綱を作成することを求めることが重要です。
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(3)市町村レベルでの学童保育運動
学童保育の法制化という追い風を活かすためには、各市町村で私たちが先手を打って私たちの要求をまとめた学童保育条例の制定を求めることです。
大阪学保協が発表した「学童保育条例試案」を手がかりとしつつ、各地域で、将来の学童保育のあり方と市町村の役割を明らかにし、私たちの要求を学童保育条例案として掲げその実現を求めていくことが重要です。
また、すでに条例をもつ市町村ではその前進的改正を迫ることです。あるいは、要綱で学童保育を実施しているところでは要綱の改善を促すことです。このように、私たちが、学童保育の充実を、具体的要求で裏打ちして市町村に要求していくことが重要です。
そして、市町村レベルで学童保育の条例制定運動・条例改正運動・要綱改善運動を進めることは、自治体施策の後退や学童保育のリストラを許さないための前進的拠点を築くという意義があります。
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(4)指導員の地位向上と社会的処遇の改善
法制化にともない、指導員は第二種社会福祉事業に従事する専門的労働者となりましたが、指導員の社会的身分や専門職としての処遇に関しては、法体系のなかになんら規定・保障されていません。
そこで、指導員の社会的身分や専門職としての処遇に関する法体系の改正や整備を求めていかなければなりません。
そのためにも、指導員の専門性を理論的にも実践的にも深めていく作業が大切になります。これらの作業は、現在、全国的にも不十分な段階にあり、大阪学保協は指導員を中心にしてその検討を進めていきます。そこで、学童保育指導員専門性研究会とも連携していきます。
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(5)映画「ランドセルゆれて(仮題)」の制作と上映の成功
学童保育は、権利の主体者としてまた、文化の創造者として総合的に発展することが求められています。
そこで、今年度の最重点課題として、映画「ランドセルゆれて」(仮題)の制作と上映運動を成功させます。
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3.子育てを担う学童保育運動
学童保育運動は、子どもたちの放課後の生活・発達保障を中心にして、子どもたち全体のすこやかな発達を願う運動です。本年度も引き続き、以下の点を中心にした子育て運動を進めていきます。
(1)地域の子育て運動の前進
4月に学校5日制完全実施をむかえた本年度こそ、地域の子育て運動を大きく前進させる必要があります。
そのためには、共働き家族の子育てや男女平等問題への社会的関心、また地域における子育て支援のあり方に関する世論の高揚などの条件を生かして、地域の子育て運動を前進させることです。また、学童保育は、保育運動や教育運動、地域の子育てサークルなどと協力し、地域の子育て運動の重要な担い手になる必要があります。
そして、現代日本では、子育て環境の悪化、集団遊びの衰退、地域の教育力の低下、受験競争の低年齢化、マスコミ文化の浸透など、子どもの生活と発達のための環境は依然として改善されようとしていません。学童保育の実践は、このような状況のなかで貴重な経験となっています。ですから、私たちは、学童保育の経験を地域に広げていく課題を正面に掲げて地域における子育てのあり方と子どもたちに必要な施設や条件をめぐる課題に積極的に取り組んでいく必要があります。
そのためにも、地域の自治会など諸団体とも懇談し、地域でのつながりを深めることが重要です。
そして、今年度は、「ランドセルゆれて」(仮題)の制作と上映運動のなかで、大いに地域の保育運動や教育運動、地域の子育てサークルなどと協力し、地域の子育て運動の重要な担い手になることが必要です。
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(2)教育問題に取り組む学童保育の視点
教師・父母・指導員などの高い関心になつている教育問題に対する取り組みを引き続き強めます。市場における「選択の自由」や「競争原理」を学校教育に導入しようとする新自由主義的教育改革は、小・中学校から大学まで、新たな能力主義的競争を強める結果をもたらします。この教育改革の推進は、現在の教育問題を一層深刻化するものです。
学童保育運動も、これらの教育問題を視野に入れ、学童保育がもつ全員参加型子育て運動の力を生かし、教師や研究者等の力を活用し、学童期の子どもの発達保障に取り組んでいきます。とくに、生活と遊びの中の教育力に着眼し、父母・指導員・住民の誰もがかかわる教育運動のスタイルの創出をめざします。
(3)男女平等・女性の地位向上と子どもの権利を前進させる運動
男女平等をめざす運動は保育・学童保育と一体のものです。そこで、女性の地位向上の運動と共同し、男女平等や共働き家族の生活・権利保障運動を強化していきます。
私たちは、地域における保育・教育運動と積極的に連携して、地域の子育て世論を変化・発展させる課題に取り組み、子どもの権利条約などの精神・理念を積極的に活用した社会制度を前進させます。
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4.学びながら育て、育てながら運動する大阪学保協づくり
学童保育をめぐる新たな動向に対応し、大阪の学童保育運動を発展させるためには、府下の運動を交流し、共同化していくうえで要となる大阪学保協の組織的安定と強化が不可欠になります。つぎのような原則に基づく大阪学保協の組織づくりに取り組みます。
(1)映画「ランドセルゆれて(仮題)」の制作運動と府下での上映運動の成功
今年度の最重点課題として、映画「ランドセルゆれて」(仮題)の制作と上映運動を成功させます。そのなかで、大いに地域の保育運動や教育運動、地域の子育てサークルなどと協力し、地域の子育て運動の重要な担い手になり、学童保育への理解と協力関係も築きます。
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(2)組織・財政の確立……新会費への移行の達成
大阪学保協の構成単位を、学童保育を利用する家庭(世帯)と個人におき、文字通り全府下の親と指導員、有志の全員で支える学保協にするために、各地域で新会費への移行が進められてきました。しかしまだ、新会費への移行ができていない地域は、本年度こそ、新会費の移行をすみかに成し遂げることが府下的運動から求められています。
(3)父母会の強化
本年度の重点課題のひとつが、父母会活動の強化をはかることです。父母会は大阪学保協の前進の基礎的単位であり、多数の父母が父母会活動に参加することがないかぎり、大阪学保協も学童保育運動も前に進むことは不可能です。父母会の行事を大切にし、これまでに築かれた父母会運営のノウハウを伝承し、一人一役を基本に誰もが参加できる父母会を作り上げていくことが大切です。
運動の基礎組織である父母会活動では、すべてのクラブに父母会を結成すること、日常の行事や催しを通じて父母相互の親睦・交流を深めること、父母会の民主的運営を徹底すること、父母と指導員の交流を日常的に強めること、地域および大阪学保協への加盟を進めることを重視し、子育て運動のなか親も発達していけるような活動に取り組んで行くことが必要です。
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(4)学保連や指導員労組と連携しその発展をめざす
各地域の学保連を強化し、大阪学保協との連携を強めること、そして指導員労組の強化・拡充によって学童保育の人的・制度的前進をすることが重要です。指導員労組の役割は、指導員の処遇・労働条件改善のみならず、学童保育の内容づくりや各学童クラブの継続的発展にとってきわめて重要になっており、府下全域のわたる指導員労組の発展が不可欠です。
(5)機関紙「おおさかの学童保育」の充実と『日本の学童ほいく』誌の普及
機関紙「おおさかの学童保育」を大阪学保協の組織的拡充の課題にあわせて広め、その編集・内容をさらに改善・充実していきます。
そして、学童保育に関する唯一の全国的専門誌である『日本の学童ほいく』誌の普及を本年度の重点課題として大いに取り組みます。未購読の地域の役員をなくしたり、未購読の父母の会をなくしたり、全世帯購読の父母の会の経験を広めたりしながら、5000部への到達をめざします。
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(6)学習会や講座の開催と30周年記念出版物『子ども時代を拓く学童保育』の普及と活用
学童保育運動のあらゆる機会に学習することを基本にすえます。そこで、子育てや地方自治、社会制度などに関する学習会や講座や指導員対象の講座などの開催を企画していきます。さらに、府下全体の学習の機会にあわせて、各地域単位での学習の取り組みを重視していきます。また、父母の会活動のやり方などの理論と経験を深める取り組みも重視していきます。
また、この学習会や講座に30周年記念出版物『子ども時代を拓く学童保育』を大いに活用し、同時にその普及をめざします。
(7)全国学童保育研究集会と大阪学童保育研究集会を成功させる
全国学童保育研究集会は、学童保育の全国的な学習と交流の機会です。全国の学童保育関係者から大いに学びながら、大阪の運動の経験をぜひ全国の学童保育運動に反映させたいものです。そして、今年度は京都で開催されますので、より多くの参加者を組織しましょう。
また、3年連続して大阪高校で開催される大阪学童保育研究集会は、大阪府下の学習と運動の交流の場です。この大阪研究集会を1000人規模で成功させましょう。
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(8)ひるぜん自然の家の発展と、大阪保育運動センター第2期建設運動をすすめる
大阪学童保育連絡協議会の20周年を記念して実現した「ひるぜん自然の家」の発展にひきつづきつとめます。また、30周年と時を同じくして取り組まれた大阪保育運動センター第2期建設運動をすすめ、大阪の保育・学童保育の運動の拠点を確かなものにします。
(9)諸団体との連携
最後に、これまでにひきつづき、全国学童保育連絡協議会と大阪保育運動連絡会に加盟し、学童保育と保育・福祉運動の発展につくします。府下では、要求や方針が一致する諸団体との交流と連携を強化し、特に府政の民主化・革新をめざす運動に取り組みます。各地域では、子育て運動や住民要求運動の一翼をにない、地域の保育・教育条件の改善や行政の発展のために民主的諸団体との協力を強化していきます。また、保育士・学童保育指導員養成のための学校制度を契機として、大阪保育研究所と共に研究・実践の交流を進めていきます。
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