大阪の学童保育の保護者、指導員の団体です。「子どもたちにより豊かな放課後を」を合言葉に活動しています。

おおさかのがくどうほいく 大阪の学童保育保護者・指導員、そして専門家の集団です。「より豊かな放課後を」合い言葉に日々活動に励んでいます。

第1章 私たちをとりまく情勢

1.私たちをとりまく政治・経済情勢

(1)反戦・平和の声で好戦勢力の包囲を
(2)経済失政、国民生活破壊への反撃も
(3)大阪府は府民生活犠牲、関空2期を強行
(4)5日制実施で新たな課題も
(5)メディアのあり方にも注視

2.こどもと教育にかかわる情勢

(1) 学校完全週5日制の導入から1年
(2) 国が急ぐ教育基本法の危険な「見直し」
(3) 小人数学級実現の広がり

3.保育・学童保育をめぐる動き

(1) 進む規制緩和・市場化
(2)次世代育成支援対策推進法と「児童福祉法」一部改正の動き

1.私たちをとりまく政治・経済情勢

(1)反戦・平和の声で好戦勢力の包囲を

 3月20日、米、英両国は、戦争反対の国際的な世論を踏みにじりイラクへの攻撃を開始しました。米英の圧倒的な武力によるイラクへの野蛮な攻撃で子どもたちを含む多くのイラク国民が命を奪われています。いかなる理由があろうとも、戦争で他国の国民の命を奪うことに、道理も正義も有りません。ましてや、今回のイラク攻撃は国連憲章の平和ルールをも無視、国連安保理の支持がないばかりか、国際的な反戦の大きな世論に挑戦するかのごとく行なわれた暴挙であり、絶対に許されるものではありません。

 石油資本を自らの支持基盤に持ち、その権益を拡大するためには、気に入らない他国の政権を武力で転覆させようとする野蛮で「ならずもの」のような米国ブッシュ大統領と英国のブレア首相を糾弾する声は、全世界的規模で広がりを見せています。

 日本国内でも、反戦・平和を願う声は一段と高まっています。しかしながら、小泉首相と自民党、公明党など政府与党は、無法で野蛮な米国ブッシュ大統領のいいなりの立場で、いち早く「戦争支持」の立場を表明、反戦・平和の世論を敵視する姿勢を見せています。そして、あろうことかこのイラク戦争を利用して「有事立法」の法制化すら狙っています。

 米英とその手先となり戦争推進を後押しする小泉政府に対する糾弾の世論を一層強め、好戦国を孤立させ、1日でも早く戦争を集結させましょう。

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(2)経済失政、国民生活破壊への反撃も

 対外的には対米追随の外交を続ける小泉内閣が進める「構造改革」路線による経済政策は不況を一段と深刻化させています。企業倒産は高水準が続き、リストラの嵐が吹き荒れ、昨年10月には失業率は5・5%に達し、完全失業者は362万人と過去最悪の水準となりました。その後も、金融機関の貸し渋り、貸しはがしで中小企業の倒産の報道が後をたちません。

 さらに医療制度や年金の改悪、介護保険料、雇用保険料の値上げなど社会保障制度への攻撃も進められ、合計3兆円を超える国民負担増が押し付けられて、国民生活はますます厳しさを増しています。その上、経済団体は政府に対し、毎年1%ずつ消費税を引き上げることを求めており、自民党の税制調査会でもさらなる増税論議が行なわれています。

 小泉内閣の経済政策での失政、国民生活破壊の圧制に対しても、反撃の世論を強めていくことが求められます。

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(3)大阪府は府民生活犠牲、関空2期を強行

 国の失政と同様、大阪府も府民生活切り捨ての「大阪府財政再建プログラム」に基づく悪政を続けています。就任あいさつで「大阪府を株式会社のようにします」とまで言いきった太田房江知事は、府立高校の統廃合をごり押しするのに加え、クーラー設置にあたり利用者負担を導入するなど、自治体にあるまじき、前代未聞の弱いものいじめの府政を続けています。

 一方で、自民党の国会議員ですら「三大ばか事業」と呼んでいる完全に破綻した関西空港の2期工事を強行する姿勢は一切変えず、航空会社各社の関空離れを尻目にせっせと府民の血税をつぎ込んでいます。

 中小企業の街である大阪の経済基盤の沈下は一段と深刻です。企業倒産が多発し、失業率も全国平均を大きく上回っています。さらに厚生労働省の調査などによれば、大阪府下のホームレスの人口は全国の半分近くを占めています。

 「財政難」を口実に府民生活に直結する福祉や教育予算をカットし、中小企業を切り捨て、大企業のいいなりになって、大型開発には税金を湯水のようにつぎ込む太田府政の「大阪府財政再建プログラム」の矛盾を正し、府民本位の府政に転換させるたもの運動も強めなければなりません。
 大阪府は2003年1月に「大阪府子ども総合プラン」を発表しましたが、「男女平等社会」や「子育て環境」の整備は掛け声だけで、学童保育予算などは低位に抑え付けたままで、行政としての責任を負うという態度からはほど遠いものです。この点でも、大阪府の姿勢を追及し、真の子育て支援に繋がる施策の充実を求める運動が必要です。

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(4)5日制実施で新たな課題も

 長引く不況、リストラの進行は子どもたちの生活や発達、成長にも深刻な影響を与えています。リストラによる親の失業や単身赴任、長時間過密労働による「父親不在」などは、家庭崩壊や子どもの荒れなどにも結び付きかねません。ホームレスのブルーシートから小学校に通う子どもなど心が痛む深刻な事態が報告されたりもしています。

 昨年度から始まった学校完全5日制は、学童保育に新たな課題を投げかけています。02年度、府下では、新たに土曜日の学童保育を開室した自治体もありますが、逆に茨木市、寝屋川市、枚方市では、土曜日を閉室するという事態になりました。また、開室している自治体でも、午後からの開室であったりと、ニーズに合わないところもあります。この中で茨木市では土曜日の自主保育を行う一方で、行政との粘り強い交渉を続け、2003年度より土曜日開設を復活させる成果につなげることができました。

 また、5日制の実施に伴い、平日の授業時間が長時間化、この結果、平日子どもたちが学童に帰ってくる頃にはクタクタに疲れきっているという報告も各地から聞かれます。こんな子どもたちがほっとできる生活の場として、学童保育の質的な発展が求められます。

 5日制に伴う土曜日だけでなく、夏休みをはじめとした長期休暇中や年末年始の開室、日々の保育時間など、親の働き方、働かされ方の多様化に対応した学童保育施策の改善運動も重要です。

(5)メディアのあり方にも注視

 子どもたちに影響を与えるメディアの動向も注視しておく必要があります。連日のイラク戦争報道は、戦争を半ばゲーム感覚で取り上げているようにも感じられます。今回の戦争の不当性、不法性の認識を持ち、戦争の悲惨さや米英の残虐さの事実を報道と、同時に米英も含め世界で広がる反戦・平和の声と運動を伝えることが社会の公器としての報道機関の義務であり、存在意義です。NHKをはじめ各テレビ局や新聞社に、子どもたちに命の大切さと正義、平和の意義を伝える報道を求めていくことも必要です。

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2.こどもと教育にかかわる情勢

(1) 学校完全週5日制の導入から1年

・ 新学童指導要領の本質

 いじめ、おちこぼし、不登校、非行、自殺など、こどもたちが示す具体的な苦しみの事例は、学習指導要領が変わるたびに、量的にも質的にも悪化していると言われています。

 昨年から実施されている(改定された戦後7回目の)新学習指導要領も、学校完全週5日制の実施にあたり、「基礎基本の確実な習得」といいながら、これまで以上に短い時間で、これまで以上に多くの内容を詰め込んでいる点から、ますますその懸念が強まっています。具体的には、教科の時間を削減しての「わからないのも個性」とする「新学力観」の徹底、「各学校の特色づくり」をめざすために新たに設置された「総合的学習の時間」、さらには小学校からの習熟度学級編成の導入、中学校の選択教科の一層の拡大、高校での共通履修教科の削減など、学校制度の複線化を教育内容の面から支えるものとなっています。

 また、これまでの「道徳」の目標を学習指導要領全体の目標に格上げし、国際社会に生きる日本人の育成、「君が代」の学習時間をふやすなど、「道徳教育」や「愛国心」・忠誠心養成教育が強化されました。一方、学校教育に対する社会的関心の大きな高まりを利用して「教職員の資質向上」や「学校活性化」の名のもとに、教職員に対する勤務評定、成績主義賃金や学校に対する評定やランクづけを行う動きも生まれています。

 以上のように、憲法、教育基本法を支える3つの柱1、ひとしく普通教育を受けるこどもの権利 2、こどもの権利を保障するための国民の教育権 3、こどもの教育権を負託されてこどもの権利を直接に保障する責務を負っている教師の権限のいずれもが空洞化されてきているのです。

・ こどもたちの生活や遊びの変化

 土曜・日曜と連続休日になったことで、こどもたちの生活や遊びはどのように変わってきたのでしょうか。おとなの週休2日制から発想されたこの生活リズムは、こどもにとっては必ずしも月曜からの学校生活の活性化につながらないスタイルのようです。1日の生活の中で「学習」「遊び」「余暇」「休息」「仕事」の5つの時間がバランスよく配置されることが、こどもの成長発達にとって必要です。土日の過ごし方によっては、かえって月曜が疲れているというこどもたちも少なくないようです。

 また、最近の文部科学省の調査でも、親の6割が、「こどものテレビやビデオを見る時間が増えた」と見ており、こどもの3人に1人は「することがなくてつまらない」と感じていると報告されています。地域になんの受け皿もなく、土曜に働く家庭があるという実態に目をつぶり「土曜は地域や家庭ですごすように」とする文部科学省の無責任ぶりが浮き彫りになった結果です。

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(2) 国が急ぐ教育基本法の危険な「見直し」

 この7回目の学習指導要領の実施を前にした2001年11月、文部科学大臣は諮問機関である中央教育審議会に「教育振興基本計画の策定」と「新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方」の2本立ての諮問を、1年をめどにまとめるようにとしました。今の教育基本法は古くてだめなので、急いで作り替えたいというわけです。

 「諮問」は「見直し」の理由として「東西の冷戦構造の崩壊後、世界規模の競争が激化する中で、我が国の経済、社会は時代の大きな転換点に立っている。このような厳しい状況の中で、21世紀に向けて、我が国が果敢に新しい時代に挑戦し、国際社会の中で発展していくためには、国の基盤である教育を改革し、新しい時代にふさわしい人材を育成することが急務の課題となっている」と述べています。教育基本法の前文が「個人の尊厳を重んじ、心理と平和を希求する人間の育成」を教育の第一の目的としているのに対し、「諮問」は新しい時代にふさわしい人材の育成、つまり激しくなる競争社会で「わが国」が生き残るために必要な、役に立つ人材の育成を教育の目的としているのです。学校で、こどもを「人間」として育てるのか、何かの役に立つ「人材」として育てるのか、きわめて重大な違いです。「世界規模の競争が激化する時代」に変わったからといって、教育の根本的な目的を「人間の育成」から「人材の育成」へと転換するような「教育改革」は許せません。

 さらに、この「見直し」の方向の視点として「変化への対応」「個性を生かす」「日本人の育成」という3つがあげられていますが、これらの視点はすでに(1)で触れた昨年から実施されている学習指導要領に組み込まれ、「見直し」の内容が教科書にもすでに具体化され実行されているのです。
 3月20日に、中央教育審議会の答申がだされ「子どもと教科書ネット21」は「日本の教育と子どもたちの未来にとって取り返しのつかない弊害をもたらす」と反対を呼びかけるアピールを発表、「日本子どもを守る会」も批判の声明を発表しました。わたしたちにも、この問題についての学習と行動が、早急に求められています。

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(3) 小人数学級実現の広がり

 学力問題やいじめ、不登校などこどもと教育をめぐる困難をなんとかしたいという強い思いから、全国各地で取り組まれてきた住民運動の広がりで「小人数学級」が地方自治体の大きな流れになってきました。2003年度は29道県2政令市で計画されていますが、大阪府の池田市と岸和田市も今年度実施を予定するなど、市町村でも今年度から独自に踏み切る自治体が増えています。これらの自治体では、保護者や教職員、なによりこどもたちから「毎日の勉強が楽しくなった、友だちが増えた、学校が楽しい」など歓迎の声があがっています。前述した教育基本法「改正」の内容を、国民の側から跳ね返す意味からも、この「小人数学級」実現の運動に協同することが大切です。

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3.保育・学童保育をめぐる動き

(1) 進む規制緩和・市場化

小泉内閣が発足して4月26日で丸2年を迎えます。小泉首相は就任直後の所信表明で「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに揚げましたが、失業、倒産と国民のくらしは悪化の一途を辿っています。総務省が去る4月25日発表した完全失業率は5,4%と前年度より0,2ポイント悪化し、過去最悪になりなりました。同時に発表した2003年3月の完全失業者は1年前より5万人増え、384万人とこれも過去最多の多さです。特に若年層の失業者は最悪で13,2%と深刻になっており、若者が希望をもって生きるにはほど遠い社会状況になっています。

保育・学童保育分野でも「構造改革」は規制緩和と市場化が全面的に進み、公的保育制度の改悪が推進されようとしています。保育所運営費の国庫負担金の一般財源化が議論されているなかで、2003年度から障害児保育補助金の一般財源化によって全額(02年度32億5100万円)カットしてしまいました。同時に今年度から介護保険と同様に障害者施策は措置制度から支援費制度と利用契約制度へと移行させる等国・自治体の公的責任を大きく後退させてきています。「地方分権改革推進会議」の最終報告(2002/10/30)や「総合規制改革会議」の第2次答申(2002・12/12)がその裏付けになっています。そこには幼保一元化や調理室の設置義務の撤廃、さらに公立保育所の民間委託の推進を打ち出しています。こうした報告、答申は全国各地で公立保育所の民間委託が進んでおり、保育所の設置運営に企業参入が広がっています。

結局は小泉首相のいう待機児ゼロ作戦は国、自治体が責任をもった公的責任での解消ではなく保育の市場化でその解決を図ろうとするものです。子どもの発達の権利保障が脅かされようとしています。
学童保育では民間幼稚園や商店街でも学童保育が実施され、運営形態の多様化が進んでいます。同時に「全児童対策」も広がっています。厚生労働省が学童保育の国庫補助を対象とするために提示した8項目は大阪市でも川崎市でも申請書類上のみになっており、とりわけ、学童保育固有の生活と遊びを保障していく内容になっていません。

川崎市は今年4月1日からこれまでの学童保育をすべて廃止し、「全児童対策」のわくわくプラザへの移行を親たちの強い反対にもかかわらず強行してしましました。わくわくプラザではすでに骨折事故や障害児が施設から出てしまい、指導員が気がつかなかったたり等深刻な問題が起こっています。全児童対策事業は児童福祉法に明記している学童保育とはその性格・役割・機能が違うことを鮮明にし、国、自治体の学童保育施策の拡充が求められています。そのためにも学童保育の最低基準とその予算措置が必要になってきています。

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(2)次世代育成支援対策推進法と「児童福祉法」一部改正の動き

厚生労働省は歯止めが係らない少子化の進行に対して、これまでの保育・学童保育施策や仕事と家庭の両立支援に加えて、男性の働き方の見直しや地域における子育て支援を社会全体で取り組むとした「少子化対策プラスワン」を発表しました。その内容をすすめていくための今国会に「次世代育成支援対策推進法」「児童福祉法」の一部改正を提案するよていです。「次世代育成対策推進法」は10年間の時限立法で企業や自治体に総合的な子育て支援の行動計画策定を義務づけています。また、「児童福祉法」の一部改正では学童保育も含めて保育所など児童福祉施設を子育て支援事業に位置づけるというものです。

今日の日本社会にあっては家庭、地域が大きく変貌しているなかですべての子どもの子育て支援は重要になっています。しかし、今回の法案は国の財源の裏づけも弱く、本当に実効性のあるものになるのか疑問が残されています。保育所や学童保育についても本来の役割が十分発揮する財政保障してこそ、家庭や地域の子育て支援にも大きく貢献できます。

特に「児童福祉法」一部改正は子育て支援事業が国、自治体の責任が曖昧にするような内容になっていることやまた、公立保育所の民営化を促進させていく危険性もだされています。子どもの権利条約や児童福祉法の理念に基づいた法案にしていくためにも、父母はじめ多くの関係者の意見が十分聞き、反映するよう声を上げていくことが緊急に求められています。

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